<福島地裁支部>デジタル記録の証拠消去 原告に1年伝えず(毎日新聞)

 福島地裁郡山支部(清水響支部長)が、損害賠償訴訟の証拠保全のため、文書を記録したビデオカメラのデジタルデータを一部消去していたことが29日分かった。パソコンで複写・編集する際に手順を誤ったという。同地裁は「文書をビデオで記録するのは初めてだった。担当した職員もパソコン操作に不慣れだった」と釈明するが、保全を申し立てた原告に消去を伝えず、再三の閲覧要求も放置していた。元の文書は既に廃棄されており、原告が不利になるのは避けられない状況だ。

 訴訟は、福島県郡山市の医療専門学校を相手に、卒業生の男性(40)が08年3月に提訴した。在学中の02〜05年度、同校が無資格教員に授業をさせたとして、授業料など約300万円の返還を求めている。

 男性は授業の状況を立証するため、同校の教職員出勤簿や雇用契約書、学生の出席簿などの証拠保全を申請。同支部は昨年3月4日、裁判官1人と書記官ら4人が同校に赴き、ハードディスク内蔵型のビデオカメラなどで撮影記録した。

 その後、支部職員が私物のパソコンを使い、約90分ある撮影データをDVD2枚に複写・編集する際、「02年度後期出席簿」が映っていた約8分のデータを消去してしまった。同支部は撮影後約1年間、男性のビデオ映像開示の求めに「閲覧に来ても見せられない」と応じなかった。

 今年3月末、男性が同支部を所管する福島地裁に苦情を訴え、今月21日に初めてデータの消去を明らかにした。毎日新聞の取材に地裁は「(消去の事実を)隠したわけではないが、そう思われても仕方ない」と答えた。

 男性は「無資格教員の授業時間を立証するのに必要な証拠だった」と困惑。同地裁の高世三郎所長は「当事者に多大な迷惑をかけてしまい誠に遺憾だ。今後このようなことがないように厳しく指導したい」と話している。【坂本智尚】

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